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2011年7月21日木曜日

『仏の発見』という刺激本

■ドストエフスキー 亀山郁夫訳「悪霊 第2巻」(全三巻)光文社古典新訳文庫:をやっと終えた。750ページの厚さで結構なボリューム感。読書の醍醐味はいつもながらドストエフスキーにはある。でも、以前も書いたが亀山本は、ある意味で現代語訳で解りやすいし、軽妙洒脱なドストエフスキーの言葉の連射には即応していて、快感すら在る。でも、20才の頃「塀の内側」で孤独の中で読んだあの狂気の結社と殺意、更に「許し」と反キリストの壮絶な争闘の記憶からすると、今回はどうもあっけない。以前の記憶が”期待”していた鮮烈な舞台装置とスタボローギンらのおどろおどろしさが無いと言って良い。

当時の読んだ翻訳が米山正夫さんなのか江川卓さんなのか調べがついていないのですが(赤と黒のデザインでちょっと大判サイズ)、あのときの読了の感銘というか別な世界にたどり着いた衝撃的臭いがあまり湧かない。蘇ってこない。巷では亀山翻訳への批判もかまびすしいと聞いているが、はて、さて、それってこういうことなのか、自問するしかない心境だ。でも前回読んだ1969年秋の時代の背景と、自分の肉体を自分が掌握出来ないほどの革命への激情のなかで、読んだ本の中の一冊の記憶だ。現在62才の僕のメンタリティーとは多分別人の様に乖離しているだろうから、記憶を基準にいまさら、亀山本を本気で痛罵するつもりはない。さあ、第三巻は買っていないので、帰国したら、そんなこと考えながら、楽しもう。

■ 先日、梅原猛さんと五木寛之さんの「仏の発見」平凡社刊:を読んだ。ガイドブックスとして名著だね。もの凄く奥深いところまで辿るためのヒントに溢れている。約40年ほど前、デラシネというか一種のヨーロッパのアナーキーズムの旗を掲げて登場した五木さんは、「青春の門」を経て土着と仏教に傾倒して来たわけだし、テレビでの「百寺探訪」のような番組でも作家としての深みを増していたように拝見していた。でも、巨人梅原猛さんの前では門前の小僧習わぬ経を・・の精神で、ゲストとして大先生をお呼びして一緒に居るだけでもお教えがあるだろうという対談をしている。緊張しているせいか、五木さんがややペダンチックな面がさらけ出されていて「やや小者風に」立ち回わり、「ふむふむ」と頷きながら即答してゆく梅原巨人の大きさは、流石です。「僕も仏教研究遅いんだよ」。?あぁそうかそうかと、巨人の経歴を思い出す。京大で仏文の桑原武夫の薫陶を受け、ギリシャ哲学の田中美知太郎に師事していたわけだしね。

この「仏の発見」は、東京においてきているので、ページに印を付けたところとか、今チェック出来ないけれど、良い本です。僕のような素人には、入り口に立つには最高の良書でしょう。久しぶりに息子に「おい、これ、良いぞ」って伝えたくなった。

大佛次郎「天皇の世紀 第五巻」(文春文庫全十二巻)が、3ヶ月も滞っている。この間100ページも進んでいない。「候文」を読みこなすのにかなりのパワーがいるのが遅滞の建前の理由だが、開陳された膨大な資料の通読にちょっと飽きたのかもしれません。この膨大な資料の一部をお見せする。
水戸の内紛の資料(江戸へ送達されたもの)『書き付けを以て啓達せしめ候。賊徒共、所々徘徊致し居り候所磯浜村へ相集まり、一昨十六日暁、賊徒舟にて同所続き湊御殿へ寄せ来たり、追々大勢に相成り小川辺を放火いたし、それより関戸へも放火致し候ところ御殿へ相詰め居り候族等、防戦撓(たわ)まず粉骨を尽くし候えども、遂に防ぎ兼ね且つ御殿御焼失に相成り候間、相引きし申し候。この方人数も少々怪我も御座候えども賊徒共死人夥しきことに御座候由。これによって御軍艦奉行始め御人数は御城下へ引き揚げ申し候。右の次第に至り候段、恐れ入り奉り候。備中守殿(中山)へも御達入れ御聴など宜しく御取り計いなさるべく候。この段貴意を得たくかくの如くに御座候。』結構、読むの大変でしょう?こういう貴重で読み慣れない資料が全文の40%ぐらいは占めている。 
  
大佛先生申し訳ありません。身を正し継続し読破いたします。大分前に第六巻も購入し、取り組むばかりになっており候故、しばしお待ちいただきたく仕(つかまつ)り候。

今読んでいる玄侑宗久「荘子と遊ぶ」(筑摩選書)が「予定」通り傑作だね。まだ、半分に行っていないが、全ページワクワクされる。この本は編集がいいのだろう、出だしからパンチがあって良い。玄侑さん「制度を整え、競争を煽り、管理や罰則を強めれば社会はうまくいくと考える人々が、今のこの国にはあまりにも多い。その考え方に荘子は巨大な「否」を突きつけ、そして「むふふ」と不敵にわらう。ムキになって否定し、相手を批判すればするほど相手に似てきてしまうことを、荘子はよくご存じなのである。」

■ ついでに僕のブログでアクセスやページビュー(pv)多いタイトル名と掲載日付け、紹介しておきます。
以下は、毎日100人以上の”人気”ページです。ぜひ、ご高覧ください。
多いのは一日1400名閲覧もありました。

・2008年11月 赤塚不二夫先生のこと
・2009年1月 「ジャクリーヌ・ササールとかBB(べべ)とか」
・2009年5月 ゲバラの映画「モーターサイクルダイヤリーズ」
・     5月 カムイと名著「ベストアンドブライテスト」
・2009年10月「救うのは太陽だと思う」
・2009年12月「爆笑問題の失笑問題」・・・1日で1440のPV
・2010年1月 阿倍仲麻呂はハノイの知事である。
・2010年2月 MAC・MAC / 立松和平さんの死。
・2010年3月 「サンデープロジェクトの打ち切り秘話」
・2010年12月 映画「ノルウエーの森」の失態
・2011年1月 「お笑いの山崎邦正のベトナムアルバイト」
・2011年3月 メイドインジャパンから「Made by JAPANESE
         の時代認識へ
      3月 「大震災をベトナム人は語る」
・2011年4月 映画「東京物語・荒野の7人・シンドラーのリストほか」
・2011年5月 復興構想に必要な「人口8000万人時代の国づくり」の発想
・2011年6月 火野正平のインターナショナル / 「ロックンロールよろしく」のご老人
以上です。阿部

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