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2011年5月8日日曜日

やっぱり、ニッポンは社員教育だね。

《写真》4月は日本で活躍の当校卒業生の講義やスピーチが相次いだ。             東証第一部上場の株式会社ニフコ(横浜)に約3年前に就職した卒業生(709クラス)テー君が休暇で里帰りしたので、当校で日本での体験記を授業してもらった。後輩たちには最高の情報と知識の提供となりました。


仕事の関係でハノイを訪れた株式会社タイショー(埼玉)の橋本社長と卒業生ヒュー君が、日本の工場に付いて後輩のクラスにて、特別講義。お忙しいのに、ありがとうございました。


近日、姫路のアユミ工業に就労予定のチュンとフックの両君が後輩のクラスにて「出発の決意」表明と日本語学習の経験を披瀝。後輩たちは全員、一年後の自分をダブらせて、目を輝かせていました。頑張ろう。


また、ブログ書く時間が無く、僕のベトナムで出版する生原稿から引っ張り出した。

■ 第四章−5項「入社すると、徹底した社員教育がある。日本企業の特徴の一つだ。」

前項4−4もそうだが、入社してからの安心感をここで君らに話をしておこう。
日本人は誰でも教育が大好きなんだ、教えるのも学ぶのも伝統的に好きなんだ。今から400年以上も前の江戸時代の前期の1600年頃でも、すでに身分の高いサムライの子弟だけでなく町民や農民、職人の子供たちが学べる民間の寺子屋や手習指南所という学校が江戸を中心に全国のあちこちにたくさんできていた。1800年頃の江戸時代の後期には、江戸に1500校、全国には約20000校も在ったと言う調査がある。子供に読み書きや算盤(そろばん)から「十八史略」などの歴史書や「四書五経」などの儒学書、吉田兼好の名作「徒然草」とか、地理の本などを大きな声で読んだり書き写したりすることが行われていた。

驚くことに江戸の子供の就学率は約80%であった。同じ時期の英国の就学率が25%、フランスなどは2%に満たない時期にだぜ。どうだ!すごいだろ、ニッポン。やがて、オランダ語や医学、天文学を学ぶ20歳代青年中心の塾という学校も江戸や大阪、長崎などに続々設立され、封建的な武家社会だけではない、次の社会を模索する身分の低い武士の青年たちが大きなうねりとなって育っていった。これが1868年の明治維新という革命となっていく。前書きが長くなったが、従ってこういった伝統のなかで、日本企業は歴史的に社員の育成は当然視されているのさ。全く当たり前なのである。

日本は前に記述したが、社員を家族と見る傾向が強いんだ。(もちろん、不況が続いてきたので、そうではない側面も増えてきたことも事実だ)だから、17時以降の飲食も共にすることも、多いし、土曜、日曜日には社員同士とか上司と部下のゴルフも多い。社員が一緒に出かける社員旅行とか、運動会、クリスマス会もある。毎月一回その月の誕生日があった人用のお誕生会など、まさに家族と同様に「私的な時間」までみんなで一緒、と言った傾向がいまでも在る。さすがにこの20年前からは社員旅行と運動会は大分減ったが・・。
現代日本は個人主義が行き過ぎた傾向も在って、内にこもる心持ち方の青年も多く見かけ、みんなと一緒に居たくないだけならともかく、深刻な人は孤立を好みインターネットとゲームとしかつきあわないような一群の若者も生んでしまった。その問題在る「おたく」な人々も居るけれど、本来からの日本人が持っている心情とか感覚の人がまだ圧倒的に存在して、企業を支えている。

言うまでも無いけれど、家族なら、当然大きく育って欲しい。つまり立派な社員になって欲しいと思う。だから、日本企業はかなりの費用をかけて社員の教育に取り組んでいる。日本の社員教育は新人の時のはじめの半年間とか、一年間だけじゃあないんだよ。かなりベテランになった課長さんたちの研修とか、部長の研修とかもたくさんある。新人に技術や会社の仕事の事を教えるだけが研修ではないのだ。また、上位の人の研修は、仕事だけについてではない、内容は健康とか、精神衛生とか、だから、外部のコンサルタントや大学の先生とか、いろいろな分野の専門家も参加する。30才代なら、彼らが抱えやすい問題、課長になったら、直面する精神的な問題の解決とか、多岐にわたる。

例えば、先日、雑誌に掲載されていた即席ラーメンの日清食品の課長さんら上級の人たちの研修は、ちょっとユニークだ。
日清の課長さんらが20名ぐらい集められて、無人島に連れて行かれた。そこでは教育係の社員が待っていて、全員から携帯電話、財布など私物をすべて没収され、代わりにナイフとか、テント用のビニールシート、水と小麦粉、2,3個の即席ラーメンだけしか渡されない。これで、2泊3日を生活しろという研修だ。目的はこのサバイバル体験を通じて精神的、肉体的に強い人間を育成することであり、生きる強さを今誰が持っているかの評価でもある。

今時の「ひ弱な」ベトナム人青年大丈夫か?火も自分で熾(おこ)すんだぜ。食べ物も自分で取ってくるんだよ。雨風しのぐテントもビニールしかないわけだから、工夫して作らねばならない。
もし、病気になったり、餌がとれず、お腹がすいてギブアップしたら恥ずかしいですねえ。“私は弱い男です”を丸出しにしてしまうわけさ。また、一部の大きな会社では、定年(普通60〜62才ぐらい)になったときに備えた精神的ケア(care)とか、第二の人生の生き方の指針を提案したり、僕からすると、あれこれ、親切すぎでかえってひ弱な老人を作るようで、やや疑問も抱くが、このように日本は「家族」に定年まで、かなり親切なのである。日本では社会保険がそれなりに充実しているので、その余剰金とか蓄積金でこのようなことがいろいろとできるのだ。

  *ただその保険を扱う社会保険庁が、長年にわたって汚職や隠然としたサボタージュ、税金の不当使用などで、大きな問題を現在起こしている。

いま、幾つかのことを君に教えたが、当面君らが入社後に体験するのはたいていの場合、半年間ぐらい、いろいろなセクションを体験させられる事が多い。会社によって違うけれど、会社全体の仕組みを知ってもらいたいからだ。さらに、君の才能とか興味が何処にあるかを君と一緒に発見するためでもある。能力開発と言っておこう。君が自分で専門だと言ってきたこと以上に君の興味とかやり甲斐が感じそうな仕事が、他の分野で在るかもしれないからだ。良く考えてごらん。大学の学部はたいてい16才、17才の時の頭脳で、その上少ない情報量で考えたことだ、人によっては父親が勧めたので、何となくそうした人も結構多いだろう。つまり、“自分の人生の本当の専門”など全く解らない中で、自分の専門をとりあえず決めたに過ぎない場合が多いだろう。その上、日本企業は、日本人の新入社員であれ、ベトナム人であれ、学生が持っている「専門」を、あまり期待していないのだ。たいしたレベルではない、プロの技術は会社でおしえるよ、と考えている場合が多いのだ。これ間違いないぜ。大事なのは高校や大学の1〜2学年で学んだ基礎知識、つまり、数学や物理、生物などの基礎知識に期待している。面接の項で詳しく教えたね。

さらに、教育は、実は与えられる物ではない。日本人の先輩や優秀な友人と積極的につきあうなかで、学ぶ事が基本だ。日頃職場で「迷惑にならない程度に」お聞きして学ぶ事が重要だ。与えられることを待っているのではなく、自分から積極的にアタックして、上位者から技術を“いただくこと”が基本なのだ。そもそも、日本語の「学ぶ:まなぶ」は、言葉が変化したもので、もともとは「まねぶ・・・まねる」から来ている言葉なのである。つまり、優秀な人の技術や知識を「まねる:真似る」事と言うことなのだよ。だから、日本の職場では工場でもオフィスでも堂々と、先輩のノウハウを盗め、と言ったりする。そばにいて、やり方を盗み、真似ることから、成長が始まるということなんだぜ。おい、青年、解ったか?サムライが武士道に入門するスタートはここからだ。
■《ブログご高覧感謝》
僕の人気・ページビュー多いタイトルと日付け、紹介しておきます。
以下は、毎日100人以上の”人気”ページです。ぜひ、ご高覧ください。
多いのは一日1400名閲覧もあります。

・2008年11月 赤塚不二夫先生のこと
・2009年1月 「ジャクリーヌ・ササールとかBB(べべ)とか」
・2009年5月 ゲバラの映画「モーターサイクルダイヤリーズ」
・     5月 カムイと名著「ベストアンドブライテスト」
・2009年10月「救うのは太陽だと思う」
・2009年12月「爆笑問題の失笑問題」・・・・・1日で1440のPV
・2010年1月 阿倍仲麻呂はハノイの知事である。
・2010年2月 MAC・MAC / 立松和平さんの死。
・2010年3月 「サンデープロジェクトの打ち切り秘話」
・2010年12月 映画「ノルウエーの森」の失態
・2011年1月 「お笑いの山崎邦正のベトナムアルバイト」
・2011年3月 メイドインジャパンから「Made by JAPANESE」の時代認識へ
      3月 「大震災をベトナム人は語る」
・2011年4月 映画「東京物語・荒野の7人・シンドラーのリストほか」
これからも、よろしく、ご高覧ください。阿部正行

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