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2010年4月16日金曜日

風姿花伝 / 宙を泳ぐ目

「ウイスキー〜がお好きでしょ♪♪」と艶めかしいサントリーのハイボールの歌がときたま流れる。なかなか良いね。石川さゆりの「ウイスキー〜〜」の「きー〜〜」のハイキーな声がとくに色気を醸し出している。気になって調べたら、もう20年近くCMとして使っているようだ。初めはハイボールではなくて、あるウイスキーの飲み方推奨風なものであったようだ。竹内まりやとか、ゴスペラーズのバージョンも悪くないが、小雪の大人の色気との整合性はやっぱー石川さゆりだろうね。あの「キー〜〜」の天に駆け上がるような高さが心地良い。お笑いのおぎはぎのふたりの照れた仕草も悪くないしね。このハイボール版になってから、小雪さんと会える気持ちになった男子が多いのだろう、ハイボール用のソーダとウイスキー角の売り上げが広告戦略通りすべからく増したと聞く。

ぼくが広告やSP、PRの仕事を青山の自分のオフィスでやりはじめたころ、1990年代初頭、丁度20年前だね。当時の第一企画のサントリーなどを担当していた知人がこう言った「阿部ちゃん、今の若者はサントリーオールドを知らないんだぜ。」担当者としてはかなりの危機感で語った。ウイスキーの売り上げが急降下していたのだ。確かに、時代はバブル。若者はこぞって、車を買って軟派に勤しんでいた時代だ。車文化と酒の両立は難しい。さらにウオークマンも定着し、パソコン、インターネットが広がり始めた時期だ。テレビすらも若者の関心から、ズレ落ちそうになってきた時代であった。そんな時期にストロングな酒、とくにウイスキーは分が悪い。女の子とワインとビールで、美味しく食べて、軽く嗜む。そんな都会のおしゃれな時代の空気感は、ウイスキーを自然と遠ざけていたのであった。そのころに、販促として、石川さゆりの歌をつかったウイスキーのCMが生まれたのだ。だから、この歌は20年のロングランということになる。

で、何故か、石川さゆりの「キー〜〜」の声と小雪の微笑が気になって、何年振りかにウイスキーを西友で買った。ソーダも買って、ぼくも小雪ちゃんにあうべく、ハイボールを作って、グイとやってみた。炭酸の発砲が心地良い。いいね、なかなか。今日はぼくもおぎはぎの二人と同様に小雪さんに会いたくて、超高層のガラス張りのバーの止まり木で、ハイボールを一杯ひっかけたの巻。でも、しがないマンションの小さな一室のテレビの前で、ハイボール飲んでも小雪さんは来なかった。その上、ウイスキーはウイスキー、なんだか胃に重く来るだけで、大した味わいじゃあなかんべさ。小雪さんに騙されず、ワイン買えばよかったかな。ああごめん、小雪さんが悪いんじゃあないんですよ、その気にさせられた消費者のぼくが悪いんでございます。そう言えば、去年お若くして亡くなったが、大原麗子さんのサントリーレッドの一連のCMもなかなかな傑作でしたね。麗子さんのあのハスキーなボイスがまだ、僕らの耳に残っている。

ご存じの方がおおいかもしれないですが、サントリーは、昔「壽屋」と言った。竹鶴氏が工場長で、ニッカも創業した不思議な両社。壽屋には、アートディレクターでアニメ作家の柳原良平が居た。また、何と何と開高健と山口瞳も居たのだから凄いね〜。彼らの広告作品の良質さで、サントリーADは広告の歴史に名を残した。「トリスを飲んで人間らしくやりたいな、人間らしく〜♪♪」僕らが小学校、中学校で何度も楽しんだ開髙さんと柳原さんの傑作の一つですね。広告の領域にアートと文化を明確に持ち込んだのは、1960年代のこのサントリーと、1970年代初頭のパルコ・西武であったろう。パルコ・西武は現在失速したが、サントリーの広告の上質と上手さは、まだ健在だね。「ウイスキー〜がお好きでしょ。もすこししゃべりましょ。あなたは忘れたでしょ♪♪」

桜の花が雪で隠れる。16日、珍しいがとっても素敵な気候の巡り合わせが自然界で演出された。何十年振りだそうだが、桜と雪の取り合わせです、それだけで、美しい。それだけで、圧巻の自然のアートです。日本の季節の持つそれぞれの風景がちょっとした変動で、組み合わせが変わる。こんな優雅な楽しみはそういつもないよね。わくわくした一日であった。今日は記さないけれど、植物を愛でてじっと眺めながら心を通わせようとする、老人としてのぼくの「植物誌」を書けたら良いなあと最近しきりに思い始めてきた。

最近、世阿弥の「風姿花伝」を読み始めた。世に言う「花伝書」である。言わずもがな古語だから、難解だ。すらっと読むと半分も意味が読み取れない。訳注と解題に目をやりつつだから、時間もかかるが、その分味わいが感じられ、一種の快感さえある。先日、宮本武蔵「五輪書」と新渡戸稲造の「武士道」も買ってきた。これは仕事で使うのもだが、目次を開いただけで胸が疼く。梅棹忠夫の名著「文明の生態史観」も最近買ってあり、机上に積まれて読まれるのを待っている。そう言えば「高校生のための東大授業ライブ・・純情編」も買ってきた。現在ハノイの当校の授業では「同本 熱血編」を使用しているので、これはその続きに使おうと購入したのだ。東大の中堅の教員がそれぞれの専門の領域の基礎的学問を解りやすく、高校生に教えている特別講座のノートをまとめたもので、知的なコーフンを感じさせるグッドな本だ。数学、物理、生物、世界史、地理、国語・・と多様な分野が親切な配慮の元で上手く開示されている。立花隆さんが書いた腰巻き文にはこうある「大学は世界一の不思議空間だ。とにかく何でもあるのだ。君たちのイメージするどんな大学よりも本当の大学は奥行きが深い。学問というのは何でもありの世界なのだ」と。

民主党の仙石国家戦略相が「参院選は、ダブル選挙になる。もし鳩山さんが辞めた場合、単なる首相交代では済まないだろう」と、今朝(18日)放映の「時事放談」の収録時に語ったと、先週金曜から、あちこちで喧伝されていた。それを確かめるべく、彼と司会の御厨(みくりや)の表情と、ビデオ編集の仕方を凝視していた。而して、何となくはめられて言わされたわけでもなく、一人で吐露しようとしたわけでもなく、ほぼ間違いなく、ディレクターと御厨と話し合った後に段取りよく、話した感が強い。彼がそう話さざるを得なかった理由はいくつかある。黄門様を自認するボケ渡辺恒三が「次の首相は管くんだ」とライバルの名前を言ったことも理由だろうし、選挙しないで首相を変えた場合、安倍、福田、麻生に続いて毎年首相の首がスゲ変わるニッポンの悲惨さが世界で露呈させられる。だからもし、変わるなら選挙を伴った物であれば、いくらかでも事態の深刻さを軽減できるのではないか、と踏んだのかも知れない。

ともあれ、平成維新があっという間にここまで凋落してきた。管さんが良いのか、仙石さんが良いのか僕は解らないが、小沢と鳩山という旧来から金権体質の色濃い田中派をここで一挙に放逐する選択肢はある。しかし、そうするなら、一挙にすべからく、国家戦略構想と成長戦略を図表みせて、解りやすく大々的に提示すべきだ。また、細かいことだ(実は大問題)が、毎日鳩山が宙に泳いだ目を国民に晒している「ぶら下がり」の変形の毎日の首相公邸ラウンジでのインタビューは、即刻止めることだ。鳩山さんは、すでに完全に宇宙人顔だよ、すでに。矢追純一がこれはUFOに乗ってきた火星人です、といってもばれないほどの域に達している。あのインタビューで、鳩山も含むこの四代の首相は引退に追い込まれた。あれが続くかぎり、首相は誰がやっても短命となるだろう。あのやり方は、多分10年未満だ。良くない慣例が定着したものである。完全にあの代表インタビューは、「政治家」としての顔と「政治思想」をすり切れさせる装置と化している。言葉と表情を異常なスピードで消費させる装置となってしまっている。マスコミも自重したほうが良い。

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